制作会社や開発者を替えるのはよくあることです。難しいのはコードそのものではなく、どんなアカウントがあり、誰が管理していて、どれかを止めると何が壊れるのかを把握することです。
正しい順番で進めれば、引き継ぎは落ち着いて進み、公開中のサイトも動き続けます。急いで進めると、自社のドメインやホスティング、ストアのアプリページにアクセスできなくなることがあります。
まず棚卸しから
何かを依頼する前に、プロダクトが使っていそうなサービスをすべて書き出してください。ほとんどの会社が、その長さに驚きます。
ドメインのレジストラと DNS の事業者。
ホスティング、サーバー、使っていれば CDN。
GitHub、GitLab、Bitbucket などのコードリポジトリ。
データベース、ファイルストレージ、バックアップ。
メール配信、業務用のメールボックス、メルマガ配信ツール。
決済サービス、アクセス解析、エラー監視、地図や AI のサービス。
アプリがある場合は、Apple Developer と Google Play のアカウント。
それぞれについて、アカウントの所有者、支払いに使っているカード、ログインできる人をメモしておきましょう。私が無料で提供している技術スタック判定とドメイン情報検索を使えば、ホスティング、CDN、メールサービス、フレームワーク、外部スクリプトなど、知らなかったサービスを外側から見つけられます。
アクセス権だけでなく所有権を求める
ユーザーとして招待されることと、アカウントを所有することは同じではありません。各アカウントを御社に移管してもらうか、御社を所有者にして前のチームを外してもらうよう依頼してください。コードリポジトリは、たいていアカウント間で移せます。GitHub のリポジトリ移管ガイドに手順があり、ほかのサービスにも同様の機能があります。
コードとデザインの権利が誰にあるのか、契約書を確認してください。はっきりしない場合は、関係が終わる前に書面で決めておきましょう。これは法的な助言ではありません。争いがある場合は弁護士に相談してください。
依頼すること
履歴を含むすべてのソースコードを、自社が所有するリポジトリで:…
ドメイン、ホスティング、データベース、各サービスのアカウントの所有権:…
環境変数の一覧と、それぞれがどのサービスのものか:…
データベースの最新のエクスポートと、アップロードされたファイルのコピー:…
デプロイの手順と、定期実行のジョブやスクリプト:…
既知の問題と、未完了の作業:…
秘密の値をメールで送ってもらう必要はありません。アカウントが御社のものになれば、新しい鍵を作り、古い鍵を無効にできます。
安全な順番で切り替える
何かを動かす前に、データベースとファイルのバックアップを自分たちで取ります。
最初にドメインと DNS の所有権を移します。レコードは変えません。
次にリポジトリとホスティングを移し、サイトのデプロイが引き続きできることを確認します。
前のチームが不要になったら、パスワード、API キー、トークンを入れ替えます。
すべての確認が終わってから、前のチームのアクセス権を外します。
DNS、ホスティング、コードを同じ日に変えると、問題が起きたときに原因がわからなくなります。一つずつ進めるほうが時間はかかりますが、はるかに安全です。
引き継ぐものの状態を確認する
コードを受け取ったら、サイト監査を実行して、公開中のサイトのリンク切れのページ、抜けているタイトル、遅い応答を洗い出し、出発点を把握しましょう。そのうえで開発者がコード自体を確認すれば、残せる部分、手を入れるべき部分、完成していなかった部分がわかります。
引き継ぎの相談
開発者を替える予定なら、プロダクトについてわかっていることと、今誰が管理しているかを教えてください。引き継ぎの順番を一緒に計画し、コードを安全に引き継ぎ、その間もサイトを動かし続けます。その後の進め方は、既存のプロジェクトに新しい開発者を迎えるときのガイドで説明しています。